【WBC】準決勝 日本VSプエルトリコ 戦前レビュー

練習試合から全試合観戦してきて、いよいよ負けられない戦いが始まる。
ギリギリの接戦もあったが、1次ラウンド、2次ラウンドともに日本は「今日負けても明日勝てばOK」という試合しか経験していない。明日の準決勝は負けたらオシマイの大一番だ。
日本チームの調子は散々書いたので、今回は相手チームのプエルトリコについて詳細を書く。
てっきりアメリカが勝ちあがってくるものだとばかり思っていたのでアメリカのレビューしかしてねーよ!!
 
 
第二回WBCでオランダに2回負けて消え去ったドミニカもだけど、短期決戦の怖さは今回も色々なところで出ております。
 
さて、プエルトリコの戦力だが、どの程度かというと、MLBトップクラスの選手が数名、ほか、マイナーや日本でプレイしている選手で構成されている。
・ヤディアー・モリーナ 30歳
 →プエルトリコの魂と言っていい存在。プエルトリコは伝説的な捕手イヴァン・ロドリゲスをはじめ、なぜか優秀な捕手を数多く輩出している捕手大国である。モリーナ三兄弟もその例にもれず、長男のベンジー、次男のホセと、それぞれMLBでも確固たる地位を築き優勝も経験している名捕手だが、兄二人が声を揃えて「三男が一番センスがある」と主張しているのがこのヤディアー・モリーナ。現在MLB最強の捕手で、なんと2008年〜2012年まで5年連続でゴールドグラブ賞を獲得している。打撃も年々上達しており2012年は.315、22本とクリンナップを任されるほどになっている。特筆すべきは総合的な守備力の高さで、肩の強さ、送球の正確さ、ボールブロッキング、フットワーク、プレート周りの守備と、すべてにおいて優れており、盗塁阻止率の高さはもちろん、その圧倒的な存在感で投手からの信頼も絶大。メンタルの生き物と言われる投手でも、捕手がヤディアーならすべてを任せて投げることができる。チームのまとまり、一体感、集中力などが重要になってくる短期決戦においてその価値は計り知れず、なんと、17日に行われたドミニカVSプエルトリコの2次ラウンド1位決定戦でプエルトリコは、怪我でもないのにヤディアーを温存させるという采配に出た。誰よりも重要な選手で替えが利かないことを表している。
 日本にとって爆発力のあるドミニカも怖い相手だが、プエルトリコも嫌な相手だ。日本の武器である機動力がモリーナによって封殺される危険性があるからだ。
 走れそうにないならないで、きっぱりと盗塁は諦め、エンドランやバントなど他の作戦に切り替えていく戦術も大事になってくるだろう。
 
・カルロス・ベルトラン 35歳 MLBセントルイスカーディナルス
 →MLBのスター選手。全盛期はセンターを守りながら強肩俊足で、40本塁打、40盗塁近くの成績を残していた両打ちの5ツール・プレイヤー。何より盗塁技術が高く、失敗をほとんどしなかった。現在はさすがに走力は落ちているが長打力は健在で、2012年もカージナルスで32発を放っている。まだまだ息の長いベテランで、主砲。
・アレックス・リオス 31歳 MLBシカゴ・ホワイトソックス
 → MLBの一流外野手。スターかと言われるとちょっと微妙で、近年は隔年選手気味。3割近い打率、20本前後、20盗塁を期待できる総合力の高い選手だが、年によって成績が不安定。外野は一応どこでも守れて強肩。2012年は打者有利のホワイトソックスでの成績だが、.304、25本、23盗塁。もちろん主力であり、要注意だ。
アンヘル・パガン 31歳 MLBサンフランシスコ・ジャイアンツ
 → 外野の控えとして転々としながら昨年、ジャイアンツの一番に定着した両打ちの俊足外野手。.288、29盗塁でリードオフマンとしてチームを引っ張った。MLBで主力を張っている選手ではあるが、クリンナップタイプではない。
 ほか、内野手ではマイク・アビレスがMLBでレギュラークラスの選手。成績としては.250、10本10盗塁くらい。
 
 投手陣はマイナーリーグや、ソト、ロマンのように日本でプレイしている選手が中心で、アメリカ、ドミニカと比べるとやはり選手層は数段落ちる。が、短期決戦は集中力がものを言うので、まったく油断はできない。
 
 2次ラウンド2組の日程の厳しさは何度か書いたが、プエルトリコがどのような日程でここまできたのか書いておく。
3月9日(土) 対スペイン 3-0で○
3月10日(日) 対ベネズエラ 3-6で○
3月11日(月) 対ドミニカ 2-4で●
3月12日(火) 休み
3月13日(水) 対アメリカ 7-1で●
3月14日(木) 対イタリア 4-3で○
3月15日(金) 休み
3月16日(土) 対アメリカ 3-4で○
3月17日(日) 対ドミニカ 0-2で●
3月18日(月) 対日本 準決勝
 
 13日以降は6日間で5試合をこなすタイトなスケジュールで、準決勝は3連戦の3戦目となるのだが、移動日なしでフロリダ州マイアミからサンフランシスコまで移動するという強行日程だ。
※フロリダからサンフランシスコまで5000km、移動は6時間程度、時差も3時間ある。正直、休む時間あるのかこれ?
 勝機があるとすればここで、連日のように総力戦をこなしてきた投手陣につけ込む隙が出てくるかもしれない。
 その一方で後がない状況から接戦を勝ち上がってきた勢いもあり、吉と出るか凶と出るか一概には言えない。
 日本としてはやはり、機動力を発揮したいところだが、ヤディアーの肩次第ではかえって相手に勢いを与えることになりかねないので、臨機応変に戦う必要があるだろう。
 先発は前田健太。完璧なピッチングを期待してるで!!