【WBC】決勝ラウンドでの選手起用について

さて、残すところ2試合、負けられない戦いが始まります。
決勝ラウンドでのオーダーの前に、ひとつポイント。
 
Q.なぜ山本監督は長野の復調をしつこいくらい待ち続け、出番を与え続けたのか?
 
12日の試合で解説が触れていた気もするが、あらためて説明すると、
 
A.決勝ラウンドの舞台、AT&Tパークが理由
 
 
なじみのない人に簡単に説明すると、2012シーズンのワールドチャンピォン、サンフランシスコ・ジャイアンツの本拠地なのだが、2007年のMLBオールスターが行われた球場であり、イチローがオールスター史上初のランニングホームランを打った球場である。
 
イチローのランニングホームランで思い出す方は多いだろうが、簡単に言うと、2012年MLBで最もホームランが出にくかった球場だ。
右翼フェンスまでは94メートルだが、フェンスの高さと海からの強い向かい風、そして右中間最深部が128メートルという独特な形状をしており、またライトの壁も独特な建築で不規則なクッションの跳ね方をすることがある。
両翼の距離だけ見て打者有利なんてとんでもない、最も打者不利な球場。特にセンターとライトの守備力が非常に大事になる球場です。
 
日本がなぜ長野の復調に強くこだわっていたのかというと、決勝ラウンドでの外野守備を非常に重視していたため。
糸井のセンターがダメとかそういう話ではまったくなく、センター長野、ライト糸井という布陣が必要不可欠であると考えたからに他ならない。
ドームと違い、WBCで守備力が強化されてるから〜などといってライト内川とかやっていい球場では断じてないわけです。
左翼から左中間にかけては比較的守りやすく、内川はレフト起用と考えられる。
現在の中田の状態を考えるとスタメン落ちさせた方が良く、一塁は稲葉で、セカンド鳥谷、ショート坂本、サード松田、キャッチャー阿部、DH井端。
これが準決勝の布陣となるでしょう。
 
広い屋外球場、特にAT&Tのような、歪な形状でホームランが出にくく3塁打が多い球場では、決して外野守備を軽視してはいけない。
 
 
続いて、書いてくれと頼まれた、準決勝以降の投手リレーと使うべき投手、使うべきでない投手について。
泣いても笑っても残り2試合、つまり全員使う必要はまったくなく、しかも負けたら終わりなので戦力をつぎ込んでいくしかない。要するに展開次第では先発が長い回を投げるかもしれないし、2回とかで降板することも得る。

以下、独断と偏見に満ちた、決勝ラウンドでの投手の役回りを個別に記します。
 
◎ 前田 健太
 →準決勝の先発確定。そしてそれに誰も異論はない。松坂や岩隈に続いてMVPになってくれ!
 
◎ 田中 将大 
 →決勝戦の先発濃厚。というか、田中しかいないよ。状態としては摂津もいいのだが、摂津には、彼にしかできない役目がある。
 
◎ 摂津 正 
 →ロングリリーフの控え。万が一、前田が早めに崩れたらすぐに出番があると思われる。もしくは、前田がある程度長いイニングを抑えても二人目として1イニング投げて、そして決勝でもリリーフ待機、という可能性もある。先発もセットアップもこなしてきた摂津だからこそできるスクランブル待機。
 
○ 牧田 和久
 →クローザー。ずっといい球を放っている。ここまできたら、継投勝負になった場合は最後に登場させるでしょう。
 
○ 大隣 憲司
 →二番手はおそらく摂津が最優先で登板すると思うが、状況によっては大隣もマウンドに上がるかもしれない。左腕の中では信頼度が高い。
 
○ 能見 篤史
 →台湾戦での先発ではダメだったが、リリーフではいい球を投げていた。決勝ラウンドでできるのか?メンタルはどうか? と不安も多いが、練習試合で調整すればあるいは。
 
△ 内海 哲也、杉内 俊哉
 →内海は10日の登板で制球を乱していたのが気がかり。練習試合で調整できれば出番の可能性も。杉内に関してはある程度結果を出しているので、好みでしかないかもしれないが、どうしても球速が出ていないのが気になる。第2回WBCではそれこそキレッキレだったのに、明らかに本調子ではない。まだタイプが似ていて球に力のあり大隣の方が状態はいい。
 
△ 今村 猛、沢村 拓一
 →右のワンポイント枠。はからずとも対照的で、二人とも威力ある直球とスライダーが武器だが、今村が制球を持ち直してきたのに対し、沢村は相変わらず制球が不安定。逆に言うと、今村はまとまりすぎているため、直球が通用しなかった場合に炎上する可能性もある。一発勝負の場合は、ここ数試合の沢村のように、適度に荒れていた方が打ち損じてくれたりするので、どっちを優先的に起用するかは難しい。理想は二人とも登板させずにすむ展開だけど。
 
△ 森福 允彦、山口 鉄也
 →本職セットアップの左腕二人が揃って12日に連打で失点してしまった。こうなったら先発枠の投手をぶつけていくしかないが、間の練習試合で復調できれば、まだ対左のワンポイントとしては彼らの方が適任か?
 
× 涌井 秀章
 →球威そこそこなのに甘い変化球が多いのがダメ。沢村のように球威があってどこにいくかわからない投手の方が、まだ抑える見込みがある。登板する機会はないでしょう。
 
 
 決勝ラウンドまで若干間があり、第2ラウンド2組と比べて投手陣に関してはまだ調整可能なのが救い。2組の方は前日の17日まで試合しているからね。
 
 理想としては準決勝で前田が6〜7回まで投げて勝利投手の権利を持ち、7回〜8回を摂津、能見(山口)で乗り切り、9回を牧田、という勝ちパターン。
 その場合、決勝は田中先発、いけるところまでいき、その後は調子のいい投手をつぎ込んで最後は牧田。
 
 準決勝で前田が早めに降板した場合、摂津をロングリリーフにし、摂津が抑え続けている限り投げさせ、残りは継投。
 決勝で摂津が使えなくなった場合、田中がいけるところまでいき、大隣か能見、内海あたりの左腕のうち、練習試合で復調を見せた投手を投げさせる。

 ポイントは、「摂津以外の右のリリーフ(沢村か?今村か?)の復調」、「不調気味だった先発左腕たちの復調」、「中継ぎ左腕(森福、山口)の復調」。
 一番重要なのは言うまでもなく先発投手と、打者が点を取れるかどうかなんですけどね。