A組第1ラウンド日本VSキューバ

 途中までは接戦、1点ずつ小刻みに奪われ、途中から日本が調整モードの選手起用になり、最終的に代表で最も状態が芳しくない今村が試合を壊して大差に。
 それでも諦めモードで雑になることなく9回は歩いて歩いて一矢報いた試合でした。
 収獲と課題が色々と見えてきた試合だったと思います。
 
 
 
 
【投手】
大隣 憲司---○→○ 直球は走っていたが制球はイマイチ。が、それでも直球は捉えられることはほとんどなく、真ん中に入ったスライダーをスタンドに運ばれた1失点のみ。制球力を取り戻せば引き続き先発でもいけるでしょう。
田中 将大---△→○ パワー抜群の相手に直球中心に組み立てて連打され失点したが、その先はすぐに配球を変え、スプリットとスライダーを中心に直球は見せ球にし、2イニングで6奪三振の好投。この田中のピッチングは今日最大の収穫かもしれない。
沢村 拓一---○→△ 相手によってピッチングが変わりすぎ。登場して初球を二塁打されて調子が掴めなかったかもしれないが…。アウトは相手の打ち損じ。投げてみなけりゃわからないのは2次ラウンド以降じゃ厳しい。
森福 允彦---○→○ 練習試合から同じ調子で決して甘いコースには投げないいやらしいピッチング。打者でいえば井端のような投手。
今村 猛-----△→× 終盤に登場、3ラン被弾で大勢決す。さすがに大会前の練習試合から状態が上がってこず球速が出ないようではNG。剛球が売りなのに140km/h前後では…
 
 山本監督は意図した采配だろうけど、一応1次ラウンドで全員投げさせた。使える投手、状態を上げてきた投手、投げてみないとわからない投手、様々だったが、2次ラウンドへ向けてのある程度の青写真は描けたと思われる。
 
【野手】

長野久義---△→△ 打順変更も効果なし、内容の悪い打撃に終始した。キューバがおそらく相当日本を研究していること、変則フォームの投手が多いことも原因と考えられるが、それにしても外角の弱点を攻められてなすすべなし。最低限、四球を選んで盗塁も決めてはいるが、どうか。最後の最後に内野安打で、これが精神的なきっかけになるか?
松井 稼頭央-○→△ 1球ならまだしも2球続けてバントフライはダメ。流れを失うプレイ。
鳥谷 敬-----△→△ 打撃ではタイミングが取れておらず当てるだけになっている。が、9回のクローザーはクセのないフォームだからか球は捉えて犠牲フライ。守備では阿部の送球を逸らして盗塁を許す。あれは捕らなきゃ駄目。
井端 弘和---○→◎ 初回、1、2番が連続三振の後に二遊間に初ヒット。9回はライト前タイムリー。鮮やかとしか言いようがない。内川と並んで最も信頼できる右打者。
阿部 慎之助-△→○ 4打席ともきちっと捉えた打球をことごとく捕球されるという不運もあったが、打撃自体は調子がいい時に近づいている。
相川 亮二---○→○ 最終打席のみ。あれをファールは無理があるw
坂本 勇人---○→△ 坂本、長野、松田あたりはタイミングが取れてなく、カーブでいいようにやられていた。今さら打撃スタイルを変えられるわけもなしに、2次ラウンドでは調子を上げてほしいところ。
糸井 嘉男---○→○ すべての打席で球をしっかりと捉えていた。選球眼も発揮して誘いの変化球にも乗らず、4番を経験して変わったのか!?上り調子。
中田 翔-----○→○ 表情が読めない、妙に存在感がなく不気味。しかし、全打席出塁。この試合の途中までは全部三遊間に転がしていただけだったけど、ヒットになるわエラーを誘うわ、すると次の打席では絵に描いたようなエンドランを決めたり最終回は3得点につながる四球を選んだり。妙に落ち着いている。松田ではなく中田がラッキーボーイというかキーマンになってくるかもしれない。
稲葉 篤紀---△→△ 待ちかねた初ヒットが出た。次の打席のチャンスでの併殺はいただけないが、転がしていった結果なので攻められないか。2次ラウンドでは心機一転頑張ってほしい。
角中 勝也---△→○ 9回に代打で登場、変な球は振らずフルカウントから四球でつなぐ。この意識が大切よ。
松田 宣浩---○→△ この試合の結果だけ見ればダメダメだが、いい当たりのファールは打っていた。1次ラウンドでは9番でいいつなぎ役になっていた。2次ラウンドでも期待。
本多 雄一--- →○ WBC初打席、チャンスを拡大する四球。セーフティバントも初球からチャレンジし、打ち上げたのはヒヤッとしたが持ち味を出している。出番は少ないだろうが今日のようないやらしさを発揮してほしい。
 
 
【総評】日本は1次ラウンドまだ起用していなかった選手、調子の上がらなかった選手を積極的に起用する調整采配だったのに対し、キューバは主力投手をガンガンぶつけてくるガチ采配。その理由はやはりWBCで日本に全敗している野球大国としての誇りだろう。
 個々の選手の評価は書いたので全体をみると、終盤こそ大差となって大勢は決してしまったが(それでも9回はアレだったけど)、7回までは接戦だった。
 7回までに出したランナーの数、キューバは安打7死球1で8人、日本が安打5、失策1、四球3で9人。
 しかしスコアは3−0でキューバ
 理由は簡単で、日本にチャンスで一本が出なかったことだが、もうひとつ、キューバは3得点すべてに長打が絡んでいる(ホームラン、二塁打二塁打)。
 日本のように単打&四球でつないでいくのは、一人目で出塁、二人目でチャンスにし、三人目でランナーを返す、という、得点するまで三人必要なシステムだ。
 しかし二塁打を絡めれば、ヒット→二塁打でもう1点。二塁打→ヒットでもほぼ1点。ホームランは言わずもがな。
 要するに長打が絡めばより簡単に得点できるんですね。当たり前だけど。
 それを持っているのは間違いなくキューバの強みでしょう。
 一言で総括すると、出したランナーはほぼ一緒だが、キューバが持ち前の長打力を発揮して多くの得点を重ね、ものにした試合でした。
 
 しかし、日本もやられっぱなしだったわけではなく、9回にキューバのリリーフに襲いかかり(!?)連続四球から3点返したことは大きく、ただでは終わらない、日本はねばっこい、チャンスでも自分の打撃を崩さず次につなげるチームだ、といったイメージを強烈に相手に与えたことでしょう。
 負けはしたけど、キューバのピッチャーって案外ダメダメなのが多いんじゃね?と、日本のチーム内にそういった空気ができたのも大きい。中盤まではかわされ続けただけで、嫌なイメージしか残らないところだった。
 追いつかない程度の反撃だったけれど、次へつながるという意味ではとても大きい最終回だった。
 
 さて、2次ラウンド。台湾戦ですが、おそらく台湾は王建民が先発。元バリバリのメジャーリーガーで、ヤンキース時代は155km/h前後の高速シンカーでゴロを量産して最多勝に輝いた投手だったが、怪我により急速に落ちぶれ、現在は無職とのこと。
 映像で見た限りでは球速はがっつり下がっていたが、ハードシンカーは健在だった。自滅するタイプではないので、どう打ち崩すか、あるいは早めにマウンドから降りてもらうかがカギになるだろう。2次ラウンドは球数制限が65から80に増えるので、下手すると7回まで投げられかねない。有名だった投手だけに情報収集はしやすいはず。
 
 2次ラウンドも頑張れ、日本!