マグナカルタ

 やっとこさくりあー。兄貴から借りたんだけれど、ものすげー笑えるからやってみ、という触れ込みがなければ、途中で諦めるか、クリア後にディスク割ってたかもしれない。攻略サイトをちらほら回ってみても、たいていが不評でした。
 愚痴だったり感想だったり考察だったりしますが、基本的にネタバレなのでちうい。プレイしないよーという方は、かむひあ、あんど、ほーるどみー。
 まず、戦闘に時間がかかりすぎて、ストレス値はたびたびMAXになること請け合い。その一例として、シナリオの途中で、主人公パーティとヒロインパーティに分かれ、ある程度シナリオを進めると合流、という流れが複数あるんですが、そのほとんどが、両者に同じルートをそのまま辿らせるものなので、さっき主人公パーティで通ったばかりの道をヒロインパーティで、同じ敵をいちいち倒しながら進める、という無駄にストレスを与えてくれるステキな構成になっております。しかも、戦闘においての攻撃方法が、○と×をタイミングよく入力する、といった凝った手法ゆえに、FFやドラクエのようにボタン押しっぱなしで漫画でも読みながら戦闘を進める、といった楽もできず。これはこれで真新しいし、楽しめるんだけれど、このゲームに限っては思いっきり裏目に出ていてしまっている気がする。何せ、飽きる。レベル上げに何時間も没頭できる自分でも、もう戦闘したくねえよう、と弱音を吐いてしまった。
 戦闘に飽きるというより、もっと別の問題が関わってきているかもしれない、と思い始める。というのも、このゲーム、常にシナリオが進んでいる状態が続くため、この展開の先は、この展開の先は、と常に追いかけさせられているんですよ。ドラクエなどは、シナリオを進めるにあたってレベルが低いと感じるならば、同じ街や洞窟にとどまって好きなだけレベルを上げたり、他の街に行ったりすることができるんですけど、マグナカルタは問答無用でシナリオ進行一本道。他の、シナリオに関係しない行為はできないようになってます。たとえば、主人公がA街にいて、そこでシナリオが進むとします。A街には出口1,2,3、があり、シナリオ進行のためには出口2を通らないといけない。でもまだ他のところに行きたいから、出口1を通って別の街へ……としようとしても、通れません。出口3も同様に通れません。ゲーム全体の九割が常にこんな感じで、主人公パーティの自由度が極端に低い。俺はクリアするのに80時間かかりましたが、歩いて80時間かかる一本の線路に乗せられた感覚でした。
 このゲームにおいて、戦闘とは、「レベルを上げるための手段」or「金銭、或いはアイテムを獲得するための手段」である以上に、「シナリオの進行を妨げる障害物」として認識されてしまうことが多そうだ。80時間のうち70時間は、移動と戦闘だった気がする。システムとしては、まずマップ上に敵がうろついており、接触すると画面が切り替わって戦闘が開始するという、要するに、見つからなければある程度はスルーできるんですが、相当粘っこく移動しないと無理。そうして気長に敵が明後日の方向を向くまで待ってから回避できるような人は、そもそも戦闘も苦にならないだろうと思う。
 というわけで、シナリオの内容云々以前の問題として、「戦闘システム」、「シナリオの進行形式」の二点において痛恨の一撃を喰らってしまったんですが、それでもシナリオがそこそこ興味深いものだったので、なんとか続けることができました。
 舞台設定をゲームの中で3割くらいしか生かせてなく、明かしてなく、使ってないのも、こっちに時間を食ったためなんだろうか。なんかもう、全てのキャラにある程度の人生と背景とエピソードが用意されているのに、主人公とヒロインですら半分ほどしか明かしていない感じで、他のキャラに至っては、断片だけ与えたからどうぞ後は脳内補完してください、というニオイすら。
 ネタバレするって書いたのに、なぜか注意深く避けてる感じに。こっからはネタバレどころか核心に触れます。核心なのに、書いてると笑えます。やってても笑えました。
・冒頭で、記憶喪失のヒロインに出会います。
 この時点でけっこう笑いました。
・ヒロインは、なんと、悪の総大将だった!
 なんと敵側の女王だった。このオチでも笑いました。
・ヒロイン死にます!!
 死に方が、主人公を庇って消滅というアレで、脈絡がないわけではないですが、え、ここで死んじゃうの、ここでええんかよ的に、悪い意味で予想を裏切られました。
・ヒロインにはそっくりな妹がいた!
 ヒロインが記憶を失って主人公パーティと同行している間中、女王の替え玉の役を担う。傀儡っぽい。それ以外では、幽閉されていたらしく。幼少時代に、この姉妹と主人公とに交流があって、どっちも主人公に惚れてる感が。エンディングで、なぜか主人公とくっつく。
・ヒロイン死亡→ヒロイン妹登場→主人公とくっつく
 RPG的にいいのかこの流れは。
 ヒロイン妹と主人公の昔のエピソードをひとつふたつ見せてくれれば、印象はだいぶ違っただろうに。
・主人公は記憶が薄い!
 記憶喪失って表記があったかうろ覚えなんですが、ときどき夢で思い出す以外はろくに覚えちゃいねーという。ヒロインともめっさ会ってるのに。
・主人公は不器用!?
 おっそろしいほどに恋愛観が見えてこない。ときメモでもやってるみたいに、いきなりレベルうpしてヒロインを好きになってた。ヒロイン死んでからも、いきなりヒロイン妹のことを好きになっとった。いきなりじゃないんだろうけど、不器用で表情が表に出ない上にキャラ同士の絡みも少ないため、やってる側はピンと来ない。FF8を数段階酷くした感じ。
・つまり主人公は!
 間違いなく尻軽男である。うはは。
・重要キャラの扱いがへんてこ
 シナリオ進行上、かなり密接に関わったキャラ数名が、エンディングを経ても謎を残したままという体たらく。片方は、製作過程でスタッフに忘れられたのか、一度戦闘し、リベンジ誓ったまま二度と出てこねえし、もう片方は最後に伏線張るためだけ、な扱われ方。ラスボス倒して、エンディングみて、THE ENDのロゴが出て、その後にムービーで、お花畑に寝そべっている風景が表示されるという。続編への布石か、もしくは、ただ生きてますよって意思表示なのか。
・一番笑ったシーン
 状況としては、主人公が湖のほとりで凹んでて、そこで、主人公を励まそうとしたヒロインが、体育座りしている主人公の背後、直線距離にして3メートル地点に立っているんです。遮蔽物は何もなし。
 そこでの第一声。
主人公「隠れてないで出てきたらどうだ?」
 それは、こう、なんというか、隠れているとは言わない!
 
 見方によっては愉快なゲームでした。でも時間かかりすぎ&エピソードなさすぎ。生真面目に取り組んだら二流以下RPG。