逆境ナイン

 なぜか気になって借りてきました。
 プロット作成に生かすために色んなものを鑑賞しようと思ってレンタルしてきた矢先にそれ以前のレベルという指摘もされたけれど悲しいのでレンタルしてきたぶんだけは見てしまうことにしました。
 ネタバレ全開でれっつGO。
 あらすじ。
 一行にまとめると、冒頭からいきなり部の存続の危機に立たされた野球部の主将が数々の逆境を乗り越えながら甲子園出場を決めるというストーリーです。いや、これだけじゃあらすじもクソも粗すぎる。見所はタイトルでもある数々の逆境。ハンパない。ハンパないということは極端ということだ! 甲子園出場を決めないと廃部になるのは前提として、練習試合前にほとんどのレギュラーが諸々の理由(チワワに噛まれて入院、ハンダゴテ掴んで火傷、女に振られた、置手紙を残して退部など)で参加不可な上にエースの主将が利き腕にギブスとか、監督が野球の素人とか、よりどりみどり。地方予選の一回戦では期末試験が赤点のレギュラー5名が補習で出場できず代役がクラスのヒマな人だったり、二回戦で主将がサボって遊園地行って部員から総スカン食らったり、それで野球から恋に生きるとか言い始めて決勝戦まで帰ってこないし。盛り上がりどころはやはり決勝戦なんだろうけれど、112-0からの逆転劇ってなんだ。レギュラーみんな相手チームのスナイパーにピッチャー返しされて満身創痍の状態のところで主将がやっと帰ってきたはいいけどスナイパーに一撃でスナイプされて吹っ飛び、センターで寝ている間に試合は9回まで進んで112-0って。なんなんだこれ。意味わかんねえ。ぶっ倒れるまで立ってないで誰か主将を叩き起こせよ! まだあと10発くらいいけそうだろ!
 ギャグらしいんでなんでも来いという心構えで臨んだんですが、鑑賞しながらどこからどこまで境界引いていいのか迷いまくった。殴られて数メートル吹き飛ぶのはアリだ。無駄に後光射しまくるのも格言の彫られたモノリスが雨中から落っこちてくるのも地中から盛り上がって出てくるのもオーケー。むしろよくこんな馬鹿演出ができるなと嬉しくすらありましたよ。少林サッカーみたいな。でも一点だけ腑に落ちなかったのがまさに山場であるところの逆転シーン。相手チームのピッチャーが168km/h出すのもいいんです強豪校だし。でもなぜそのピッチャーをいとも簡単に主将が打ち崩してしまうのかだ。しかも一人で三桁打点たたき出すほど打ち続けることができるのは。それはなぜだ。理由がないではないか。あのチームが決勝まで勝ち続けた経過が飛ばされているのも気になるっちゃ気になるけれど描かれていないぶんまだ想像の余地がある。けれどあの主将に関しては、多少球が速いくらいのただの熱血ピッチャーだと思ってたんで、なんであんなに打力があるのか不思議だ。だって一切描かれていなかった気がするのだ。お馬鹿な空気から一転、グッとくるシーンとして作られていたのだろうけれど、そこんところが気になって仕方なかった。原作の漫画ではフォローされているんかな。甲子園で勝ち進むくらいのチームなのだからきっと能力的にも優れたものを持っているんだろうけど。別にどんな球でも打てる超人設定にして欲しいわけではないけれど、ないがしろにはしないで欲しかった。うーん、やっぱり気にしちゃいかんのかなー。でも気になった。
 なにはともあれ主将の不屈透視、じゃねえ不屈闘志には大いに勇気付けられましたよ。根拠のない自信を振りかざしてどんな逆境にもめげずに立ち向かっていく暴れん坊っぷりはとてもいい。参考になるしああなりたいと思ってしまいました。何も考えてなさっぷりがビンビン出ていてすてき。チームメイトも彼を信じてみんな倒れるまで戦ったんだ。ってなんで野球で倒れるんだろう? ピッチャー返しって怖いんだぜ、という話なんだぜ。