もったいない試合と、わけのわからない試合

 昨日の日記で5月の傾向から先を予測したセントラル・リーグですが、なんたることか、月の最後の1試合で混迷を極めてまいりました。
 もったいない試合から。
 阪神楽天。6回まで、楽天がヒット9本で2点と攻めあぐねているのに対し、阪神はヒット3本のうち2本を5回に集中して3点取り、2−3で阪神がリードしてました。先発の杉山が5回まで1失点、今期好調のダーウィンが6回に登板してランナーを出したものの最小失点で食い止めました。1点差で終盤。阪神のお得意パターンです。そして7回! ここで出てきたのがなんとジェフ! 帰ってきたジェフ! 復活登板を三振2つ奪い三者凡退に抑えます。8回は藤川が先頭打者にヒットを許して犠打で得点圏に走者を背負いながらも、その日それまで3打数3安打の磯部、前の打席でタイムリーを放っているリックを続けて打ち取りました。阪神のこの日の安打数は4本。当然、7、8回とも三者凡退です。でもいいんだ、リリーフが点やらなければ勝てるのだから。二桁安打の楽天にヒット4本で得点を上回り、ウィリアムスも戻ってきて今月を終えることができれば万々歳! これ以上ないくらい貴重な勝利をものにできる瞬間である。いえーいヒャッホウ――
 ――久保田劇場の開幕であった。
 登板→四球→四球→犠打→逆転タイムリー→四球→ピッチャーエラー→内野安打→内野フライ→4失点
 
 落とすにはあまりにももったいない試合であったと言わざるをえない。後述するがこの日は中日が敗れて巨人が勝ったため、6月は3チームが1.5ゲーム差でひしめき合ったまま迎えることになった。
 
 続いてわけのわからない試合です。こっちは中継見てました。
 巨人−日本ハム
 まずは6回までの経過を。巨人の先発は二ヶ月ぶりの登板、高橋尚。試合勘がどうなっているのか危ぶまれるところだったが、シンカーを巧みに使って打ち取る持ち前の投球でハム打線をかわしていく。しかし5回に四球で出したランナーをツーベースで返され先制を許すと、やはりスタミナ不足か、6回には新庄に一発を浴びて続くランナーをツーベースで出し、タイムリーを打たれたところで投手交代。この回だが、5連敗中の巨人の弱さというか粗というかそういった部分を見た。結果的に高橋尚はノックアウトされたわけだが、どういった理由か、ピッチングコーチが一度も間を取りに出てこなかったのだ。やっと出てきたときにはすでに原監督が投手交代を告げていた。解説の人も話していたが、ここはいったん間をあけるべき場面だった。新庄に本塁打を許した直後か、もしくは次の打者にツーベースを打たれた時点で。たとえ6回が終わった時点で替える算段が立っていたにしても、投げ急いでいる阿部と高橋尚のバッテリーを落ち着かせるべきだった。この4点目は明らかによけいだった。
 一方6回までの巨人打線。一週間前の再現VTRを見ているようだった。チェンジアップと速いテンポでかわすリーの投球術に翻弄され、6回まで1安打。打線の調子が悪いことは確かだろうが、それ以前に策がなさすぎる。昨日は見てないけど、たぶんダルビッシュに対してもそうだったんじゃないだろうか。「ピッチャー対バッター 打てなかった 仕方ない はい次のバッター 打てなかった 仕方ない はい次のバッター」を延々と繰り返しているだけ。馬鹿正直すぎるのだ。これも解説が言っていたことだが、バントの構えで揺さぶるなり狙い球を絞るなりしてかからないと相手バッテリーの思う壺だ。で、見ていた限り、それができていたバッターは仁志ひとりだった。
 さて問題の7回。4−0で負けているうえ、それまでヒット1本の巨人はすでに敗色濃厚である。チーム防御率が2点台のハム投手陣、特に中継ぎは鉄壁を誇っている。
 ここで先頭バッターは仁志。この試合の一番のポイントを挙げるならここだった。変化球に手を出さずにじっくり見極め、カウント1−3から四球を選んで出塁した。ここから一体何が起きたのか、二岡ヒット、スンさんヒットでノーアウト満塁とし、小久保が四球でまず1点。ここで先発リーを諦めたハム。左腕のトーマスを送り出すが、なぜ同じ左腕の武田勝ではないのだろう。ここが不可解といえば不可解だった。27日に3回、計39球投げて以来登板していないので、投げれないことはなかったはず。阪神でいうなら藤川を投入する場面で金沢を出してきたような、そんな腑に落ちない感覚だった。ともあれ速球派の左腕トーマスは阿部をショートゴロに打ち取り、三塁ランナーがかえって2−4。なおも1アウト1、3塁。続くバッターは右打者の原だが、ここでトーマスを続投させたのもまた不可解だ。大差で勝っているならまだしも僅差、しかも同点のピンチである。右腕の武田久を投入するものとばかり思っていたらトーマスが投げ続けたので不思議な気持ちで見ていた。結果的に原がタイムリーツーベース、ようやく右腕の武田久が登板するも大西への代打、小関が逆転タイムリー、結果的に原から4番のスンさんまで7連打、1イニング9得点の巨人がそのまま9回にも得点を加え、久保、林、豊田のリレーで逆転勝ちした。林と豊田はナイスピッチングと呼んで差し支えない投球を見せたが、久保は登板直後に四球、味方が9点とって逆転した次の回も先頭バッター四球と、なに考えてんだと言いたくなるような投球で不安が残らなくもない。でもヒットは打たれてないし防御率は相変わらず2点台前半を保ってる。久保が一番ランナー出してると思うんだけどこれでいいんだろうか。いいはずはないが、とりあえずこの試合はこうして巨人が取った。原監督の代打采配が成功したというより、ヒルマン監督の継投策に疑問が残ったという印象。原を舐めたのか。
 5月が終了した段階で、阪神が28勝19敗1分、巨人が28勝20敗2分、中日が26勝20敗1分。貯金でいうなら、9、8、6。大接戦である。阪神は久保田の投球が気がかりとはいえウィリアムスが戦列復帰してリリーフ陣の層はなお厚くなった。巨人はあの集中打で打撃回復といっていいのか。交流戦、打撃絶好調のヤクルトはどこまで上がってくるのか。
 6月もセントラル・リーグからは目が離せない。