阪神タイガースはメジャーリーグで通用するか否か!?

 相沢超監督が「阪神ならメジャー行っても普通に優勝争いできるだろ」と発言されたので、俺なりの見解を述べますことよ!
 先に結論から言うとまあ、絶 対 無 理だ(笑)。
 というか、たぶん日本球界オールスターメンバーでいっても優勝争いまで食い込むのは無理なんじゃないか。これは前回かその前の日米野球で選手の誰かが言っていたことだけれど、俺もその通りだと思ってます。
 たぶん、一部の日本人選手がメジャーリーグで多大な実績を残したものだから勘違いが起きていると思うのだけど、日本人のトップクラスの選手はメジャーリーグでトップクラスの選手でもある。これはまったく正しい。問題はその他なんだ。スター選手がすごいのはわかってるから、では普通の選手はどうなのかと。これは明らかに日本が能力は劣ると、どちらの野球も見ている俺はハッキリと思うわけだ。そもそも日本というひとつの国の野球と、各国のトッププレイヤーがごさごさ集まってくるメジャーリーグを比較すること自体に無理があると思わなくもない。マイナーリーグ含めて選手の母数が違いすぎる。
 阪神メジャーリーグで優勝を争えない理由は大きく3つある。スケジュールの違い、打撃力の差、投手力の差である。って全部じゃねえか!
 まず日程について。22日のコメントで碧郎さんが述べられているように、メジャーは日本とさほど変わらないシーズン期間の中にあって、年間160試合以上を消化する。十ン連戦というのが何度もあるし、一日で時差がある西海岸から東海岸へ飛んだりすることもしばしば。日本球界はなんとありがたいことか、毎週一度は休みが待っている。けどメジャーは違う。雨で流れれば、翌日に即ダブルヘッダー。日本では、流れた試合は日程の後ろの方に回すというなまっちょろい(と俺は思う。チケットの関係とかあんだろうけど)方式をとることで対策しているけど、レギュラーシーズンに続いて20試合弱のポストシーズンが待っているメジャーにはそんな余裕はない。その後も変わらず強行日程。ついでに引き分けもない。延長戦は決着つくまで戦い抜くので軽く15回以上とか年間に何度も見られる。深夜の1時2時までやって決着がつかなかったら、翌日に持ち越して「続き」をする。
 これは阪神の選手にスタミナがないということではなく、日本球界とメジャーではスケジュールの組み方が根本的に違う。どちらがしんどいかは明白で、選手がおしなべて対応できるのかというと、そんなわけがなく。対策は立てられてもいきなり順応は難しいだろう。まずこれがひとつ。
 続いて打撃力。率直に言って、阪神の打撃スタッフがそのままメジャーでやったら、チーム打率が2割いけばいいほうじゃないかと思う。かろうじて対応できるのはメジャーも欲しがってるように赤星一人で、他は……無理だろうなあ。考えてみてほしいのは、なぜ日本でパワーヒッターであったと同時にアベレージヒッターでもあった松井秀喜が打撃フォーム改造を余儀なくされ、ゴロキングと呼ばれたのか。もともと流し打ちに定評のある巧打者だった(率はともかく)田口が一年目は全然打てずにマイナーに落とされて、打撃フォームを根本から改造して再び這い上がってきたのか(本当に別人のようなフォームだった)。日本であれだけならした松井稼頭央が(怪我はあったにせよ)三年間で一度も3割に届いてないのか。要するにピッチャーの性質が日本とはだいぶ違っていて、それに対応できるかどうかなんだけど、そこまで順応性のある打者は赤星くらいだろう。ストライクゾーンも外角に広いし。あと、チーム本塁打は年間100本もいかないだろうな。2004年の日米野球全8試合で日本側の本塁打が横浜の佐伯の一本だけ、ということからもわかると思うけど。阪神打線の長打力はまったく機能しなくなると言っていいので、これまた厳しい。まあ、一番わかりやすい例で、阪神にはメジャーリーグ出身の助っ人アンディ・シーツがいるけれど、今でこそ日本球界のセントラル・リーグ首位打者争いを繰り広げている彼ですが、メジャーリーグでは5球団を渡り歩いて通算成績、356試合 打率.216(966打数 207安打)19本塁打 113打点 16盗塁です。日本球界ではほんの1、2年でトップクラスの選手にのぼりつめるほど対応できる彼が、メジャーで何年やっても打撃はふるわなかった。これが何を意味するか。あとついでに、ヤクルト、巨人に在籍していた最強助っ人ロベルト・ペタジーニも、日本に来る前はマイナー生活だったし、現在もマリナーズの控え選手に甘んじている。
 あと投手力。メジャーで通用するのは一部の中継ぎと井川くらいじゃないか。絶好調時の井川は確かにメジャーでも打てないと思う。上原でも打てないし、松坂でも新垣でも打てないだろう。確かに日本のピッチャーはどんどんメジャーで通用する人材が出てきつつあるけれど、それでも上の上とされるトップクラスのごく一部。上の中以下を出したらどうなるか、これもやっぱり日米野球見ればわかるけど、面白いようにポコポコ打たれます。あっちもそれなりのメンバーを揃えてきたという弁もあるだろうけど、相手が単体チームになっても球が通用するかどうかはあまり変わらないだろう。特に日米野球WBCとは違ってシーズンは長いし、何度も対戦することになる。相手に情報も入るし、対策も立てられる。WBCとか日米野球って、米側はこっちの詳しい情報ほとんど仕入れてなかったんじゃなかったっけ。いや確証はないですけど。
 まあそんなわけで、スケジュールに対応できずバテる、打者が打てない、投手が打ち込まれる、という三つの理由により、阪神が優勝争いできるかどうかは、まず無理、という結論が出た!
 追記
 かなり暴論になるけれど、日本の野球とメジャーリーグでは野球の質がだいぶ違うという前提のもと、選手には三種類いるとする。A.日本球界でだけ真価を発揮するタイプ(シーツ、ペタジーニなど)、B.メジャーリーグでのみ力を発揮するタイプ(鳴り物入りでやって来てさっさと退団してった多くの外国人選手)、C.日本球界でもメジャーリーグでも(順応するなどして)力を発揮するタイプ(イチロー、井口など)がいる。阪神のレギュラーは当然みんな現在のところAだけれど、じゃあこの中にCはどれくらいいるのか?という話です。俺は野手では赤星ひとり、投手では井川と藤川だけだと思うなあ(笑)。すくなくとも、バッティングにおいて向こうに順応するのがどれくらい難しいかは、ダブル松井や田口を見ていればわかる。
 
 さらに追記。
 超監督からの要望に応えるサービス精神が日本を救う!
 論点はふたつ。1.「日本のトップクラスの投手はメジャーに通用する。ではそれより1ランク下のピッチャーはどうか?」、2.「ヤンキースセ・リーグにきたらどうなるか?」である。
 1.について。打者に対してこっちを詳細に書かなかったのは、実は俺自身が判断ついてないせいでもある。というのも、日本のピッチャーは基本的にコントロールが良いとされ、それは現役のメジャーリーガーから首脳陣に至るまで口を揃えて言うほど認められている。これが海を渡って果たして不利にはたらくか? もちろんNO! はじめから有利であるとさえ言える。阪神でいう下柳のようなピッチャーもメジャーにはたくさんいます。ニューヨーク・メッツトム・グラビンとか、シアトル・マリナーズのジェイミー・モイヤーとか。二人とも左腕の技巧派なんだけれど、40歳以上とは思えないピッチングで二桁の白星を重ねている。つまり球速がなくてもコントロールと投球術で打ち取ることができる。阪神のピッチャーは球速に加えてコントロールを持っている投手が多いので、意見を覆そう。十分通用するかもしれない。ただひとつ注意なのは、向こうのバッターはみんな力があるため、コントロールミスをスタンドに運ばれることがよくある。そして直球にも強い。佐々木がよく打ち込まれていたのもそのへんかも。なので、被打率は低くてもこちらの防御率は悪くなるかもしれない。で、多少コントロールが良いくらいで通用するかというと、ハイそうです、とは言い難いわけで。メジャーの中にはもちろん、やたら動く変化球を放る投手や常時150キロ台中盤を出す剛腕投手がいっぱいいて、各チームの打撃陣はそれらを打ってきているわけですから。どっちつかずになってしまうけれど、こればかりは出してみなければわからない。ただ全体の傾向として、日本よりもメジャーの方が、荒っぽいバッターが多い印象はある。
 ただひとつ言えるのは、日本でパカパカ打たれていた元横浜の斉藤隆が今年ドジャースでセットアッパーになり、最近になってクローザーを任されているように、日本よりもメジャーでこそ真価を発揮する、という投手が実はけっこう多いのではないか、と睨んでいる。あと、藤川の直球はメジャーでも十分に通用する、とも思っている。
 2.について。ヤンキースセ・リーグにきたらどうなるか。これは難しい。それなりに勝つだろうけど、断トツで優勝できるかというと、これもわからない(笑)。何しろヤンキースは投手陣弱いから。抑えのリベラが化け物だけれど、ランディ・ジョンソンは今年大乱調だし、ムッシーナは安定しているけど、日本の当ててくる野球とは相性が悪い気がする。打者もなあ。ジーター、シェフィールド、Aロッドあたりは成績を残すだろうけど……他は日本の投手陣にかかったら不振に陥るんじゃないだろうか。ろくに仕事できないまま帰っていった外国人選手よろしく。
 まとめると、「日本のチームがメジャーに行ったら間違いなく優勝は無理だが、メジャーのチームが日本にきたからといって確実に優勝できるかというと、そうでもない」という微妙な差なんだよ! 野球が違いすぎるんだ。乱暴だけど、レギュラーの半分が使い物にならなくなる、と考えていいかも。
 日本野球とメジャーリーグで違う点……だって、実力差っていっても、走塁、守備に関してはもう、差があるとは思わないものなあ。極論を言ってしまえば、「野球」「ベースボール」のどっちに向いているか、じゃないだろうか。
 ……整理しよう。スキル的な話で。
・日本の打者がメジャーに移籍する際には、新しいバッティング技術を身につけないと通用しない(ツーシームへの対応)
・日本の投手がメジャーに移籍する際には、特に何も必要としない(行ってから球種を増やすことはあるだろうけど)
メジャーリーグの打者が日本に移籍する際には、どれだけ早く日本の野球に馴染めるかが重要(新しい打撃技術を身につける必要はない)
メジャーリーグの投手が日本に移籍する際には、狭いストライクゾーンへの対応が必要
 
 書いてるうちにわかんなくなってきた。言えることは、走塁守備は似たり寄ったりだけどボールを遠くへ飛ばす力は全体的にメジャーの方が上で、一流選手の数も圧倒的に多いということだ! それこそ、アメリカ代表、ドミニカ代表のどっちも、メジャーリーグオールスター、と呼んで差し支えないくらいに。ホラ、日本の野球って一流選手って思ったよか少ないじゃない。