ナツメグ体験版

 コットンソフトの新作、ナツメグの体験版をやってみたよ。
 
 
 学園青春ものだってのはストーリー見てわかってたんで、それをどんなふうに体験版に仕立ててくるのか興味があった。体験版ってあれじゃないっすか、製品版も買おう!って思わせることが目的じゃないですか? 違うのかもわからんけど、そうだとすると結構重要じゃないですか。
 で、悪い意味で予想通りだった。
 なんかな、コンセプトに王道とかテンプレとか盛り込んであるんならいいんだけど、この手のゲームってなんで形式が同じなんだろう。朝目覚めのシーンからはじまって、隣の子を起こしたり起こされたりして、通学中にその親友と会って……みたいな流れ。見事にテンプレ通りだ。いや、定着した今となってはお約束を崩す事にこそ理由が必要なのかもしれんけどさ。極端だけど、「なんでこのゲームは朝目覚めのシーンから始まらないんだろう? 何か理由でもあるのか?」みたいな状況なのか。別にシチュエーションが同じでも文章が違えば楽しみようはあるからいいんだけど、そんなに文章がうまいわけでもないしなー。ヒロインの魅力がさっぱりわからないのは単に好みから外れていたとして、男サブキャラが下品なのはよかった。キャラっていうかライターにギャグセンスないのが致命的だけど。もったいなすぎる。で、開始〜オープニングまでが体験版なんだけど、これってこの手のストーリィの一番つまんない部分じゃないのかな。一番波風立たないところ。そんなこんなんで、プレイしたあと、学園青春モノというジャンルを飲み込んだ上でいくつか疑問点が浮上した。
・切りがいいところで終わっている
 体験版としてどうなんだろうということ。最近多くなってきた奇特な設定の作品の場合、ショッキングな場面だったり思わせぶりな伏線を張るだけ張って終わらせたりしてて、俺はそっちの方が好き。先が気になる。続きがやりたい。卑怯だとか気に食わないと感じる人はいるかもしれないけど、こう思わせれば体験版としては成功じゃないか。で、この作品の場合、体験版の中身はオフィシャルのストーリィ読んどけばわかるところだけだった。ていうかストーリィ読めば体験版やらなくていいじゃん、みたいな。ちょうどひとつの事件が解決したところで(オープニングになって)終わってて、それを切りがいいところと表現して間違いではないと思うんだけど、それってどうなんだ。少なくとも俺はもうこの作品から興味がなくなってしまった。あー、よかったね、めでたしめでたし。はい次いこ。そんな感じなんだよ。解決しちゃったらだめじゃんよ。作品の空気に触れてください、ということかもしれんけど、テンプレ的ギャルゲのテンプレ的掛け合い、シチュエーション、キャラクターを見せられたところで魅力は感じない。性格の好き嫌いは別にしても、この短いプレイ時間で思い入れが発生するほど描き方がうまかったとも思えない。やっぱ自販機とそんなに変わらんって、これ。
・体験版は必ずしも冒頭〜オープニングの間でなくてはならないか?
 別にそんなこたないと思うけど、このゲームは展開が王道っぽいだけに、体験版で冒険するわけにはいかなかったのかもしれない。過度な期待を持たせて後でがっかりされるよりは、体験版で「ふむ、こんなゲームか」と思わせておいて、製品版でも「うん、やっぱりこんなゲームだ」と、ある種の確認?させるのが狙い?なのか? いやわからないけど。まあ、体験版にかまけて本編をおろそかにしては駄目だし、お約束事が定着しているのならそれを崩す理由もないのか。特にこういう王道ぽいシナリオだと。ライターとっかえろとは言えないし、「ではあなたみたいなプレイヤーはこのシナリオでどんな体験版を作れば買おうと思うのか」と問われれば、高笑いしながら全力で走り去るしかないもの。世界観も文章もキャラも魅力ねーから無理だよフハハハハ!!
 絵は好き。オフィシャルサイトのキャラ紹介も微妙に凝ってて感じがよかった。でもたぶん買わないし、プレイもしない。