バイト論もどき

 今のバイト(スーパーの品だし)を始めてからはや一年と数ヶ月。いつの間にか時は過ぎ去り、新しい人と出会って別れた数も二桁近く。右も左も分からなかった自分が他のアルバイトをまとめる立場にまでなりました。
 振り返って思うんですが、最近の高校生は忍耐力が無いというか、甘えすぎている気がいたします。このあいだも、新人の高校生の二人のうち一人が、一ヶ月経たずに辞めていきました。理由を聞いたところ、なんでも夏休みに電気工事士(?)なるものの試験があるらしく、放課後勉強したいので、夏休みまで休ませて欲しい。駄目と言われたら辞める、との事。社員の人に話す前にまず俺が話を聞いたんですが、正直、彼が何を考えてるのかサッパリ分かりませんでした。え、仕事するため、もしくは稼ぐためにバイト入ったんでないの? っていうかひと月経たずに三ヶ月以上休まなならんなら、最初ッから入るなやボケ! 飽きたか嫌気が差したかして適当な理由をつけて辞めたのが一番妥当な線なんですが、もし本気でああ言っていたのなら、なんというか濁った笑いしか出てきません。彼はそれで承諾されると本気で思っていたのだろうか。思っていたのなら、おとといきやがれ。いやもう来るな。
 自分と同時期に入った高校生(現在三年)も、よく仕事中に不平不満を洩らすんですが、作業量が増えれば増えるほど、忙しければ忙しいほど不満を口にします。でも、よく考えてみて、と言いたい。不満を言う暇があるなら手を動かしてくれ。忙しいんだから。彼はバイト終了間際になると口癖のように、疲れた、だるい、辞めようかな、と一人で口走るんですが、ちょっとそこ、勘違いしてないか。俺からすれば、働きに来ているのだから、与えられた仕事に関して文句を言うなと言いたい。そりゃ、明らかな無茶ばかり言われるなら不満も出るもんですが、何も難しいことはない、普段からこなしている仕事で、嫌な顔をするんじゃない。体を動かしに来ているんだから疲れるのは当たり前。だるいのも当たり前、っていうか普段はだるくないのか。だるくなるまで動けよ。そうすりゃもっと早く終わるんだから。
 お客様に対して笑顔で対応しない。他の部門の社員の人に挨拶をしない。いらっしゃいませを言わない。客の前を平気で通ろうとする。高校生にもなって、こういう基本的なこと、言われなくちゃできないのだろうか。酷いことに、彼らは言われてもしないし。それとも、しないのではなく、できないのか。精神的に。人と目を合わせて話せない類の症状かしら。
 色々書いてるうちに、そもそも意識が違うのかなと思えてきた。彼らは「アルバイト」をどう捉えているのか。たぶん彼らは、「入ってみて気に入らなければいつでも辞められる、金を稼ぐ手段。楽なほうがいいいなあ」みたいな捉え方をしているんだろうな。俺からすればそんなん甘ちゃんのクソ喰らえ脳みそだ。俺はまず、一度入ったバイトは、一人前に働けるようになるまで何があっても辞めない。自分に向かないから、同僚が気に入らないから、なんて理由つけて辞めるのは、苦境から逃げ出したいという意識の現われであって、全て「忍耐力の無さ」からくるもの。まずそれが嫌だ。手前勝手な言い訳で自分を納得させて辞めてみても、結局は逃げ。何故自ら苦境に身を投じようとしないのだろう。「苦労は買ってでもしろ」という言葉を知らないのかな。俺はこのバイトに入ってから半年ほどは毎日のように主任に怒られてました。一日に四度か五度ミスかまして、半泣きになるまで説教されたこともありました。バイト仲間の一人にとことん嫌われて、顔を合わせるたびに睨まれたり無視されたりもしました。でも、辞めようなんて一度も思ったことはない。むしろ怒られるほど、早く一人前に仕事ができるようにならなきゃ、と自らを奮い立たせました。お金をもらって働かせてもらっているから、という理由ではなく、辞める時は自分を全て納得させてから辞めたい。何も気に入らないことはないけれど、色々考えた結果、辞めます、と。
 ……今は慢性的な人手不足で、そのせいか、他のバイトには「働いてやってるんだ」という意識が根付いているみたい。それは逆だろう、と俺は思うわけですが。苦境は全て己を鍛える糧なのだから、疲れるほど満足しろ。忙しい日はチャンスだと思え。たいした理由もないのに与えられた仕事に文句を言うな。「アルバイト」しに来たからには、働け、働け、働け。もちろん楽しい方がいいけど、楽だけはするな。とりあえず、働け。
 ……この意識が勉強に向かないんですよ、ぼく。あははは。